ブロー理論
1
ブロー理論
<毛髪科学>
Ⅰ 髪の構造
成分はケラチンたんぱく質。表皮、皮質、髄質の3層から成っている。
①表皮(キューティクル) 5~6枚が重なり合い、うろこ状をしている。1枚がエピキュ-ティクル、
エキソキューティクル、エンドキューティクルの3層構成
②皮質(コルテックス) タバコのフィルターのような繊維質とそれをつなぎとめる間充物質から成る。
③髄質(メデュラ) 細い髪にはなく、太くなるにつけて見られる。コシのあるしっかりした髪にはこれがある
Ⅱ 髪がいたむ原因
① 物理的(力による)要因
無理なコーミング、ブラッシング、過度なシャンプーなどでキューティクルが剥がれる
表皮は爪程度の硬さだが、意外ともろく、ピンセットでつまんだだけでも、簡単にはがれダメージにつながる。
②化学的要因
③熱的要因
ドライヤーやアイロンのあてすぎなどで、毛髪内部の水分が気化して髪が膨れあがる。
たんぱく質の変質は約110℃から始まる。
④紫外線よる要因
Ⅲ 髪の化学構造
4つの結合からできている。
① 塩(イオン)結合・・・・PHで結合が切れます
② ペプチド結合・・・・・切れるときは髪の毛が切れます
③ シスチン結合・・・・還元剤で切れます
④ 水素結合・・・・・・・・水分で簡単に切れ、セットやブローによるスタイリングはこの結合を利用している。
以上4つがきっちりと結合しているとき、髪はもっとも安定した健康状態にある。
2
<ブローに入る前に>
ブローはお客様がご来店されてから、シャンプー、カットやパーマ、カラーをした後の一番最後の技術です。その仕上がりでお店の外に出て、それぞれお客様の生活に戻っていくわけです。
そのお客様にとって、「素敵」とか「かっこいい」「かわいい」などいい方向に感じていただけるようにしていかなくてはなりません。1番いい状態で帰っていただくために、ブローの技術が必要です。
そこを担当した人がお客様に熱い思いをさせたり、強く引っ張ったり、仕上がりがぱさぱさになってしまったり、
ブローに時間がかかりすぎていたり、ぬれている髪が顔にかかっていたりなど、不愉快にさせてしまう原因を
つくらないようにすることが大切です
スタイルの土台はフィンガブローです
そこから、もっとデザイン的にボリュームをつけたり毛先にカールをつけたり、クセを伸ばしたりと目的により
ブラシを選択して使用します。
デザインによってはカーラーやアイロンを選択します
仕上がる最後まで水分バランスを保つこと。
そして顔たちに合わせ、柔らかく健康な髪にしていくことが求められます
ブローの基準
素材 技術 デザイン 不快感を与えないです
不快感をお客様に与えない
・作業中、手元に集中しすぎないよう、鏡をみてお客様の表情、スタイルのバランスなどをチェックします。
・ドライヤーからの風の方向に気をつける。顔にかかったり、周囲にまで風が広がらないように気にします。
・髪や頭皮に対しての配慮を怠らないようにします。ドライヤーは同じ位置にあてると火傷の原因になるので
左右、もしくは上下に揺らしながら行う、手やブラシのあたり具合にも注意します。
・清潔な道具
・姿勢、立ち回りに気をつける。
3
〇 素材
髪質と毛量
☆髪質をみる(太い、細い、硬い、軟らかい、くせ、多毛、薄毛)
☆ダメージの範囲をみる(毛先だけか、中間から毛先までか、根元から毛先までの全体なのか)
☆施術履歴を知る(パーマ、カラー、ストレートパーマ、ホット系パーマ、トリートメントなど)
・毛量が少ない、細毛軟毛➡乾きやすい。クセの強いところから行う(前髪やつむじ付近など)
・毛量が多い、太毛硬毛➡乾きにくい時はネープから進める
・損傷が強い部分は速く乾くので考慮する
毛流れと生え方
☆根元のクセを読みとる。(クセを生かす、又は直す)
☆つむじ付近、顔回りヘ、ムラインの生え際、等、特に生えクセが強い部分は擦りながら乾かし、また
指ではさみながら対応していく
▽デザインの把握
デザインの把握
① パートの位置(サイド、センター、ノーパート)
② 毛の流れの方向(フォワード、リバース、たたせる…)*最も重要*
③ ボリュームの位置がどこにあるか(フロント、トップ、サイド、ネープ…)
④ 質感の把握(毛先の軽さ、重さ、ウェーブ、カール、ストレート、ハネ…)
⑤ イメージスケールからの分類(ソフト、ハード、クール、ウォーム、ナチュラル、カジュアル、エレガント、モダン、シックなど)
⑥ 似合わせ(顔の形、頭の形、目鼻立ち、パーツの大きさ、形などの関係性)
*あわせて考えること
シルエットライン・・・卵型に見えるように技術を選択していく
顔と頭蓋骨と身体の形と大きさ
顔型の確認し目的の髪型をイメージして行う
4
□ 技術
☆髪は濡れると、水素結合が切れていますが、乾いている時はくっついて安定した状態になります。
くせをつけたり、くせをのばしたりスタイリングできるのはこの作用を利用しています。乾き過ぎると、いくら形付けようと
形はつかず、オーバードライになるだけで、髪の傷む原因になるので注意しましょう。
一度乾いてしまうとクセはとれないので、水で濡らしてやり直していく。
基本は60~70%フィンガーブローで乾かしブラシで行うのが短時間での型づけが効果的です
☆手の使い方
・乾かす時はドライヤの風を手のひらに斜めの角度に当てながら指をつたい根元を乾かしてていく
・シャンプーのように地肌の丸みに沿いながら擦りながら乾かす
・ボリュームをコントロール時は、指ではさみアップステムやダウンステムに。
・地肌に沿わせたい時は、 手の平に熱をふくませおさえるように。
・特にクセが強い場所は クセの部分をこすりながら風を当てる
★乾かす前に髪の状態を把握して、健康な髪、ベストな状態になるように、道具やコンディショナー、
熱のあて方などのプランを判断する。
ボリュームを出す
・ 根元を起こす(毛流に逆らう)
・ スライスを横に取る
・ アップステム
・ 毛束の根元をもみながら乾かすと出しやすい
ボリュームを落とす
・ 毛流に従う
・ ナナメ又はタテにスライスをとる
・ ダウンステム
ツヤを出す
・ 髪は表皮、皮質、髄質からなりたっています。表皮=キューティクルは、5~6枚が重なり合っているので、
根元から毛先の方向へ整えることでツヤが出ます。
・ 表面もですが側面、裏側にもドライヤーをすることで艶が出る
・ ドライヤーからの熱風は、髪の毛に対して15~45度の角度であたるように調節する。
クセをつける
・ 熱を与える → 冷やす
Wet → Dry
5
1.ウェーブをそのまま生かす・・・テンションを加えず、スタイラー、ラドンナ等を使用しかわかす。
空気を含ませるように、手のひらでふんわりと持ち上げてかわかす。
2.巻き髪風にウェーブをだす・・・毛束をねじり、手のひらに包み込みながら熱をあて冷ます。
3.スクランチドライ・・・・・・・・・・・ショートスタイルなどで、トップの部分の動きや立ち上がり、ボリュームを出す時
手のひらに髪の毛をふくませ、ランダムにもむように乾かす。
4.ラップドライ・・・・・・・・・・・・・・頭の丸みに沿って、ブラシを地肌にあてカットラインの方向へ動かし、クセを取りながら
自然なボリューム感をみる。
ブローをする上で、髪のツヤが出るしくみとして、このキューティクルを整えることが大切です。髪の根元から毛先へ
むかって重なり合っているキューティクルを、ぬれてる時は開いているので、熱と風によって乾かし、閉じてあげる事が必要です。
道具の選択
① フィンガー、ハンド・・・自然なタッチに適している。素材を生かし形づける。
根元の流れや動きを大事に髪の側面から温風を当てる様に意識する
②デンマンブラシ・・・・・主にストレートにブローしたい時に使用。(直線を表現する)
根元のクセ(方向、立ち上がり、つぶれ)を直すことができる。
流れをつけることができる。
フィンガーよりもテンションがかかるのでつやがでる。
③ロールブラシ・・・・・・クセを伸ばしたり、カールをつけたりできる。(曲線を表現できる)
ブラシの太さと髪の毛の長さの関係によって、カールの大きさもかわる。
デンマンブラシよりもテンションがかかる。
④カーラー、ホットカーラー、カールアイロン、ストレートアイロン
・・・・・スタイルの質感をより強調したい時。セットアップなどの下地作り。
ブロースタイルよりも、しっかりとした立ち上がりや、ボリューム、カールなどをつける。
毛流れ、生え方、頭蓋骨・・・活かすか、弱くするかデザインに対して
膨らんでいる?つぶれている?毛流れの特徴を考慮して行う
つむじやフェイスライン、耳後ろ、後頭部、側頭部の毛流れを確認
一本一本の毛の角度や流れを意識する
6
step.1 ドライ/ハンドブロー
これからすすめていく技術の下地もかねて、最後まで水分バランスを保つことが、仕上がりを柔らかく健康な髪にして
いくのに大切である。
ドライ・ハンドブローの仕方
1.髪の状態を見て、必要なコンディショニング剤をつける。
2.髪の根元をドライする。生え方のクセを読みとり、くせを直す場合は、根元をこするようにする。
頭の丸みに沿って、ドライヤーと手の位置をこまめに移動する。乾きにくいネープから行う。
3.常に正しい角度で熱をあてるようにするとムラ乾きが防げる。
4.全体の根元が乾いたら、求めるデザインを意識し、流れの方向へテンションを加えていく。
注意点
一度乾いてしまうとクセはとれないので、水分がある状態の時に直していく。ボリュームを出したい時は、指ではさみ
アップステムに。ボリュームをおさえたい、出したくない時は、指ではさみダウンステムに。地肌に沿わせたい時は、
手の平に熱をふくませおさえるように。
その他
1.ウェーブをそのまま生かす・・・テンションを加えず、スタイラー、ラドンナ等を使用しかわかす。
空気を含ませるように、手のひらでふんわりと持ち上げてかわかす。
2.巻き髪風にウェーブをだす・・・毛束をねじり、手のひらに包み込みながら熱をあて冷ます。
3.スクランチドライ・・・・・・・・・・・ショートスタイルなどで、トップの部分の動きや立ち上がり、ボリュームを出す時
手のひらに髪の毛をふくませ、ランダムにもむように乾かす。
4.ラップドライ・・・・・・・・・・・・・・頭の丸みに沿って、ブラシを地肌にあてカットラインの方向へ動かし、クセを取りながら
自然なボリューム感をみる。
7
step.2 デンマンブラシ
・ 形を作る上で、根元をコントロールしやすい道具。
・ ハンドブローよりもテンションがかかるので、よりツヤを求める時、面を整える時、ストレート感を出したい時や
毛先が内に入る内巻きスタイルまで、スタイルのベースを作る上で最も必要なブラシです。
ブラシワークの基本動作
1・スライス幅はブラシ幅でとる
2・スライスラインに対して平行にブラシを合わせる
3・地肌にブラシの毛があたるぐらいの髪の根元部分から回転させながらブラシを入れる
4・毛先方向にブラシを回転させながらオンベースに引き上げる
5・根元から毛先まで常に毛束がたるまない程度のテンションを保ちつつブラシを動かす
6・毛先の最後の髪の毛1本までブラシを回転させながらテンションをかけながらブラシを抜いていく
注意点
・ドライヤーの風のあて方は、毛束のステムに対して、毛先に向かって15度~45度の角度であてる
・「ストレートにする、内巻きにする」の形付けは、ブラシ操作によってつけられる。根元から毛先までのアール(弧)を
丸く描くと、まるみが出てくる。
・毛束をとる量は基本ではブラシ幅ですが、毛量の多い時、クセの強い時は、それよりもうすめスライスでとる。
8
step.3 ロールブラシ
・スタイルを作る上で、柔らかい曲線を求めたい時、ツヤをしっかり出したい時、くせをのばしてブロースタイルを
つくりたい時に主に使用します。
・ブラシのサイズ(直径)によって、カールの大きさがかわる。直径が小さく、ブラシの目の細かいタイプほどしっかりした
強いカールがつけられ、ルーズな大きなカールを求めるならその逆と考える。
ロールブラシの扱い方
デンマンブラシ同様、ブラシワークの基本動作はかわりありません。内巻き、外巻き、フォワード、リバースなどあらゆる
場合も同じです。
注意点
・ カールごとのつなぎ部分が割れてクレパスができやすいので、スライスの取り方、ステムの角度に
気をつける。
・ブラシの毛が髪に絡みつきやすいので、ブラシが通りやすいようにもつれを無くしてからブラシをいれる。
・左右同じ手の動きができるようにする。
・スライスラインによって、ボリュームと動きに違いが出てくる。床に対して平行(横スライス)のスライスラインは、最も
ボリュームをつけることができるが、動きはだしにくい。対して垂直(縦スライス)のスライスラインは、ボリュームは
つけにくいが、毛先などに動きを出したい時は最も有効である。無限にある斜めのスライスラインはその中間と考え、
より横に近いか、縦に近いかで求めたいボリューム感、動きをイメージして使い分ける。
9
step.4 ホットカーラー/アイロン/ローラー/ピン
ブロースタイルよりもよりしっかりしたカールや、流れを作り上げることができる。用途に合わせて道具を使い分ける。
ホットカーラーの使い方
1.シェープした毛束をオンベースで引き上げ、毛先側にカーラーを置く
2.巻きつけたら毛先までテンションをかけてずらし、毛先をしっかり巻き込む。
3.そのままステムの角度を変えず根元まで巻き込む。
4.左手に持ち替えてスライス線上におさめピニングする
注意点
・ カールを出したい時だけでなく、セットアップの下地づくりにも使用する。フロントやネープをすべて上げてしまいたい
時に、髪の方向性をつけたり、ボリューム感をだしたりできる。
・ 根元まで巻き込む時、ステムの角度や方向をよくチェックする。
・ カーラーをピニングする時は、ピンのあとが表面に出ないようにとめる。
アイロンの使い方
1.カールアイロンを開き、逆の手で毛束を操作しながら根元から巻きつけていく。
2.毛束をやや重ねながら巻きつけ、毛先まで巻きつけたらアイロンを閉じ、一度巻きつけた方向に半回転させて
根元にテンションをかける。
3.1~2秒キープしたら(毛束の表面に熱が伝わったら)はずす。
4.はずす時は、アイロンを下に向けて開け手で軽く毛束をゆするようにすると、ウェーブを壊さずにロール状のカール
がつく。
注意点
・使用する際は、完全に乾燥しきった髪の毛ではなく、少し湿度のある髪の方が形がつきやすい
・アイロンでキープする時に、巻ききった髪の表面をさわってみて熱が伝わっていたらはずして良い。
・他にストレートアイロン、ワッフルアイロン、ウェーブアイロン等